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 大牟田夏祭り 大蛇山 (福岡県大牟田市)    site up 2003/07/30
大牟田夏祭り 大蛇山1
夏の祭り大牟田夏祭り 大蛇山
7月の第4土・日曜日に開催される、火の粉が舞う勇壮な祭りである。大蛇が山車【だし】になっているのは珍しいことで、大蛇山の知名度は高い。
ただご存知ない方が聞くと「え?ヘビが山車になってるの?」と思われるかもしれない。この感想が普通かもしれないと思いつつも、大蛇山の大蛇とはいわゆる龍を現しているものとご認識いただきたい。
左の写真はメイン会場を練り歩く大蛇山であるが、ご覧の通りこの迫力である。とくにこの大蛇のお顔は怖いように思うのだが、それぞれ大蛇の表情も姿も違っており必見である。
大牟田夏祭りは港祭りで始まり花火大会と続き、このメインイベントといっても過言ではない大蛇山を迎える。多数の大小大蛇山が参加する勇壮な祭りをご紹介しよう。
大蛇山とは言うものの、その歴史や由来は良く知らないところ。少し調べてみた。
どうも行き着くところは、大牟田市三池地区に伝わる大蛇伝説である。大蛇の生贄【いけにえ】にされようとしたお姫様をツガネ(サワガニのこと)が大蛇から救ったというお話で、ツガネのはさみで大蛇が3つに切られ3つの池となったという。確かに三池地区近くの三池山には3つの池が存在し、三池の地名の由来となったとも言われている。
相手は大蛇である、いくらなんでもサワガニが勝てるなんてと思うところはあるが、サルカニ合戦の物語があるように不思議とカニは勝つのである。しかし何故かカニが勝ったのに大蛇が人々に慕われているところが、いまひとつ伝説と結びつかないような?と思うところではあるが、それはさておき、三池山は雨乞いの祈祷を行う神聖な山であったとも伝えられ、この3つの池をつくった大蛇は水の神を象徴とする水神信仰があったとされる。日本ではそもそも蛇は水の神とする信仰が多い。

しかし、これだけでは大蛇山と大蛇伝説はあまり結びつかない。
大牟田夏祭り 大蛇山2
大牟田夏祭り 大蛇山3 大蛇山は祇園祭がルーツだろう。
現在の三池新町にあった新町祇園社(現八剣神社と呼ばれる)については、1640年に勧請【かんじょう】(神仏の来臨を請うこと、京都の八剣神社だろう)の記録が残っている。その頃から祇園祭が始まったと推測されるが、いつ大蛇のような山(山車)になったかは詳しい文献がないのが事実である。ただし1852年には、現在の大蛇山と同様の材料を必要とする山があったというから、少なくとも1800年代には今に近い姿であったろうと推測される。ちなみに封建時代(簡単に言えば幕府による政治時代で、鎌倉時代から江戸時代まで)に藩主から祇園祭のために山(山車)を贈られたようであるから、地元の大蛇信仰と結びついて大蛇山となったものと推測される。
そして勇壮な大蛇山祭りとなった要因も三池地区での発展によるところがあるだろう。
三池地区は今でこそ大牟田市三池であるが、昔はほぼ中央から北は宿場町として栄えた柳川藩領、南は三池藩陣屋(大名が領地内にもっていた館)の城下町として栄えた三池藩領と分かれており、それぞれの地域にある八剣神社の山が競う合うように祭りを盛り上げた。このころ大蛇山も成長したのだろう。
由来がわかるか不明だが、柳川藩の大蛇が男、三池藩の大蛇が女といわれており、祭りの競演で昨年交尾したことからなんと今年は子供の大蛇神輿が女大蛇山と一緒にやってきた。そんなストーリー展開まであるのか、と心底感心した次第である。ただ、このまま繁殖が続けば三池は大蛇に埋め尽くされると思うのだが、子大蛇は翌年までには多分旅に出るのだろう、子供が親離れした男大蛇と女大蛇は再び三池の中央で愛を語るのである。
やがて大蛇山は大牟田各地に広がり、今では六山【ろくざん】と呼ばれる神の宿る大蛇山がある。
大牟田夏祭り 大蛇山4
大牟田夏祭り 大蛇山5 大牟田夏祭り 大蛇山6 大牟田夏祭り 大蛇山7
三池祇園宮 三池藩大蛇山 大牟田神社第二区祇園(通称二区)
大牟田夏祭り 大蛇山8 誤解があるといけないので申し添えるが、大蛇山は六山だけではない。それ以外にも地区や団体、学校から立派な大蛇にかわいい大蛇が参加して祭りは大変盛り上がる。土曜日、日曜日と大蛇山が集まるが、土曜日に六山による巡行・競演、日曜日にその他多くの大蛇による巡行・競演(一部六山も加わる)と2日に渡り熱い熱気に包まれる。また集合する前から、市内各地で囃子【はやし】が聞こえ祭り雰囲気が市内を包み込む。

それにしても、この人、人、人。大蛇山に限らず、土曜日に行われた一万人の総踊りでも、繁華街のある大正町通りは文字通り人で溢れ返っていた。
大牟田夏祭り 大蛇山9 大牟田夏祭り 大蛇山10 大牟田夏祭り 大蛇山11
第三区祇園 本宮彌剱神社 1万人総踊りの一部(まだ広い)
さて、かませとう儀式をご存知だろうか。大蛇山の大蛇の口に子供をあたかもかませるがごとく差し入れ、子どもの無病息災を祈るものである。山車が大蛇になっている祭りがそうそうないところに加え、「かませ」儀式ともなれば付近の祭りを除けば皆無ではないだろうか。
外国人が見たら「Oh!Crazy」と目を白黒させるやもしれぬこの儀式(でも和風催しで結構好まれそうである)、しかし幼年期を大牟田で過ごした人は、実に9割を超す人がこの「かませ」経験者というから大変親しまれている儀式なのである。是非お子さんとお越しの際には「かませ」をされてはいかがだろうか。
大半のお子さんは泣きじゃくる、中には平然としているお子さんもおられるが、状況判断能力が乏しい(んなわけない?)か時代を変える大物か、大いに期待して見守ってあげよう。
大牟田夏祭り 大蛇山12
大牟田夏祭り 大蛇山13 祭りを盛り上げる存在に女神輿【おんなみこし】」を忘れてはならない。
歴史は昭和62年、大牟田神社第二区祇園山で結成されたのが最初とされるが、現在は第三区祇園山、本町山、他幾つかの大蛇山に女神輿が存在している。笛の合図に整然と踊る女神輿もあれば、見ていてリラックスしそうな「わきあいあい」さを感じる女神輿もあり、見ていてなかなか楽しい。大蛇山の歴史からすれば、女神輿の歴史はまだ浅いと言えるだろうが、その役目は今では大変大きい。ヨイサ、ヨイヤサという掛け声は、いつしか見ている自分もリズムをとっている、いわゆる女神輿の「虜」になった(笑)。区内の巡行では例年より幾分か涼しいかな?と思うものの、アスファルト上の灼熱地獄を踊りながら進む姿は体力勝負、それだけにいっそう美しい。
第二区祇園山では大蛇山の後に、あるときは前で整然と踊る姿が見受けられ、その存在感は凄いものだ。第三区祇園山では、大蛇山が動く際には女神輿が大蛇山を囲む姿が見られ、大蛇山を神聖に扱っている光景が写る。また本町山では、大蛇山の見守る前で女神輿が楽しそうに踊る姿が見られる。
これらは是非祭りで実際に愉しんで頂きたい。
大牟田夏祭り 大蛇山14 大牟田夏祭り 大蛇山15 大牟田夏祭り 大蛇山16
大蛇山はもちろんと言えばもちろんなのだが、ハンドルは切れない。区内を巡行する際には指示を出す人、それを伝える人、動かす人と総力を結集して移動を行う。
最近は、車輪と道路を傷めないためだろう、方向転換をする際には、予め車輪を竹を「すのこ」状に結び合わせたものに乗せてから横向きの力を加える光景が見られる。木の車輪そのものより滑りも良いようだ。山の重さだけでも相当なものと推測するが、それに十数人は上っていることを考えると、うまく力を合わせなくては特に方向転換はままならない。また一瞬の気の緩みは事故にも繋がる。大きな声が飛び交うのも頷ける。
第二区祇園山の区内巡行では、繁華街の狭い路地を練り歩く区間があるが、大蛇の顔が道幅一杯といった感じで慎重を極め、また山の上ではこんなにあったのか?と思うほどの電線を交わしながらと大変そうであった。
大牟田夏祭り 大蛇山17
大牟田夏祭り 大蛇山18 時間が許されるなら、最終日の午後9時半頃に行われる最後の競演、大牟田神社第二区祇園山と第三区祇園山の競演は迫力があるのでご覧頂きたい。この時のために温存した花火を一斉に振りまく姿は、地元の人には既に恒例行事。全体イベントは午後8時を過ぎたところで各山巡行を行って帰路につくのだが、この帰路のいよいよ終盤に第二区祇園山と第三区祇園山がメイン通りから入った道路ですれ違う。このときに両山一斉に火の手を上げてクライマックスを盛り上げる。2車線の道路一杯一杯ですれ違う2山が一斉に火を吹くと、人で埋め尽くされた沿道では逃げ道はない。火の粉と灰を浴びる覚悟が必要だろうが、ハイな気分だろうから大丈夫と推測する。
この競演後、山は山くずしと呼ばれる儀式によって壊され、大蛇の破片は無病息災・家内安全のお守りにと古来より大事に扱われている。昔は特に左目を奪い合っていたそうだが...。今年も多くの家庭を見守っているのではないだろうか。
下記写真クリックにて大きい写真が開きます(640×480pixel)
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強い子に育ちますように 火口から登場するゴジラを連想した私 いざ巡行へ!
 関連リンク おおむた『大蛇山』まつり公式ホームページ

大牟田商工会議所

大牟田観光協会
ニ区祇園會

三区八劍神社

肖像権の問題がある場合には事務局までご連絡ください。
   

地図はこちらから⇒  Mapfan地図へ がおおよその位置になります。
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