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 上津江シャクナゲ園  (大分県日田市上津江村)    site up 2003/06/07
上津江村を走る国道389号線を、日田方面に北上中日本一のしゃくなげ園なる手書き木看板が立てられているのを見てしまった。しかもあちこちにある。
日本一…この言葉に弱い。天然記念物、重要文化財、日本三大…などなど、私を勧誘する言葉は多い。その中にあって日本一、格別の響きである。地域再発見を目指す我々には、思ってもいなかった棚ボタ的スポットであった。「これは紹介しなければ」と俄然血が騒ぐというもの。だだ日本一というわりには、その場しのぎ的簡素な看板(木板に手書き)である点がいささか不安である。しかしもう一人の自分がフォローした、
「一年を通してのスポットではないよ、だって花だからね。鉄製ポールに巨大標識は望めないでしょ」
納得である。日田方面を目指していた車は、目的地にそっぽを向くように日本一のしゃくなげ園への横道にそれた。

途中(国道からすぐだが)名もない、いやあるかもしれないが分からない滝があった。このような滝がいくつもあり目を愉しませてくれる。
「上津江シャクナゲ園」、国道から約3km程入った「程野地区」にそれはあった。やや道が狭い部分があるのでご注意である。しかしこの山奥に集落がある、正に山里だと関心した。
入園料(大人500円)を支払い案内チラシをもらうと、不思議とそこには「日本一」の文字がない。すかさず入園料を徴収しているオジサンに「何が日本一?本数?面積?」と聞くが、「花だね、初めての方?見れば分かるよ」と言う。ほんとかよ、と疑い深い自分が出てくる。まだ若き頃ならチラシを掲げもう一方の手でチラシを叩きながら「何が日本一じゃい!」と吼えるところだ(ウソ)。大人になった、こんな自然豊かなところにきて四角四面なことを言っては器が小さい、って思う(ややウソ)。
では、見せてもらおうではないか、とまずは谷へと降りる通路を進んだ。

しゃくなげの花としては、最近の雨、風により花が傷んだり散ったりでめっきりと時期が過ぎた感があり少々残念だ。先述のこともありいささか気分が滅入る。
案内チラシをよくよく見ると、というかそんな念入りに見るほど文字数は多くないカラーのチラシだが、シャクナゲ20,000本、ミツバツツジ3,000本とある。なるほどなかなかの本数ではないか。
駐車場からしばらくの園内では、本当に20,000本?という状況だったが、園内の食事処がある施設までくると、状況は一変した。そこから見下ろす一帯にしゃくなげが広がっていた。高低差10mほどあるだろうか、山肌が谷底の沢へと下る一面にしゃくなげが植えられている、またその幅も沢に沿って100mは勇にあるか。
「おお、やるじゃないの!」
と気落ちしつつあった気分が盛り返しつつある。最盛期の美しさはなかなかだろうと推測する。
桜は時期が過ぎれば散って美しい記憶のみを残す。だがしゃくなげはそうはいかない。時期が過ぎたものは、特に白い花で目立つのだが茶褐色への変色が一目で「ああ、もう遅かったね」と思わせる姿となってしまう。過ぎた花は管理者(人間)によって取り除かれるのが観賞としては望ましいしゃくなげであるが、ここの本数ではなかなか思うようにはいくまい。
各々の枝先につく花の大きさ、迫力は花の女王といわれるだけのことはある。若くても女王、老いても女王かな。英国の鉄人のごとく迫力が持続するのである(笑)。
ちなみに花言葉は「危険・警戒・尊厳」、無作法な鑑賞をしてはすぐに女王を取り巻く警護の者に拘束されてしまいそうな言葉が並ぶ、おお怖い。
しゃくなげを漢字では【石楠花】と書く。“いしくすばな”である。読み方に対する当て字なのだろうか、または奥深い由来があるのだろうか、ちょっと分からないがしゃくなげを知らない人はまず読めないだろう。
しゃくなげの葉は表裏でその色、質感がまったく違う。まずは色、表は深い緑、裏は黄土色というか茶褐色というか。ただしこれはそう不思議なことではない。問題は質感だ。表は普通の葉っぱを感じさせるが、裏側はスウェード革を想像させるのだ。花の女王はリバーシブルのスウェードを着こなす美人であった。
ただし、裏表で色が違うのは日本しゃくなげである。西洋しゃくなげは裏も緑色であるから、まずは見分ける方法としては葉の裏表を見ると良い。概ねではあるが、西洋しゃくなげの葉が大きい感じで、また大きくなるスピードが速いように思う。
しゃくなげ園としての面積、木々の密集度は満足のいくしゃくなげ園である。花の色に関しては、赤、ピンク、白と基本的な色合いがメインのようだ。種類的にはやや少ないように思う。専門家に言わせると、いやいやこの赤とこの赤は種類が違うのだよ、ということもあるかもしれないが、大半の方は素人さんだろうからこの感想は正しいだろう。この種類(色・形が豊富)の点では星野村の池の山しゃくなげ園に一歩譲る、いや二歩譲るか(最近黄色のしゃくなげを見た)。しかし、一般的には広さと本数・規模が優先するだろう。その点では満足度は高いしゃくなげ園と正直申し上げる。

ちなみに、しゃくなげは西日に弱いと聞くので、自宅で栽培される場合は西日があまり当たらない場所に植えることをお勧めする。あと、つつじ科全般に言えると思うがあまり根が強くない。水はけの良い場所に植えることも重要だろう。
このように女王様はなにかと待遇を考えないとご機嫌が悪いのだ。
広さと本数はかなりのもの、各地にしゃくなげ園は点在するがここ上津江しゃくなげ園の満足レベルはきっと高い。近くをお通りの際には足を伸ばす価値はあるだろう。ただし時期は見計らう必要がある。種類があまり多様でないため、一気に咲いて一気に終わる傾向が強いと私は推測している。その分ゴージャス感はあるんだけどね…
帰り際、車のノブに手をかけてふと振り返る、さて日本一とは何だろう。確かにこれほどの規模は少ない、広さか本数か。しゃくなげ園管理協会なる非営利団体があれば教えてくれるだろうに、当然そのような団体は聞いたことがない。しかしこの悩みが癪【しゃく】に障ることはない、だって花を見て癪を投げてきたのだから。しゃくなげ、心を落ち着かせる花なのだ。来年も、私はその答えを求めにまた行くことだろう。きっと何かある。そう、そこに上津江しゃくなげ園の日本一の看板がある限り…

 関連リンク 日田市ホームページ    
   

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