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K-00106-N0009
 佐世保海上保安部 針尾送信所 (長崎県佐世保市)    site up 2003/07/25
針尾送信所1
写真をご覧になれば、奇妙、圧倒的、またはここは日本?...いずれにしても不思議な感覚になられるのではないだろうか。工場地帯とはおよそ無縁な風景のなか、3本の煙突かとおぼしき塔が聳え立つ【そびえたつ】。針尾送信所である。
大正7年から4年の歳月をかけて作られた日本旧海軍の無線施設である。太平洋戦争開戦へと突き進む日本は1941年12月2日のこの日、連合艦隊司令長官による有名な暗号電文を伝達する。
「ニイタカヤマノボレ一二〇八」
戦闘開始を12月8日午前零時とするという伝令を、太平洋に展開する連合艦隊に伝達するのに使われたのがこの無線塔と言われている。諸説あって、中国・朝鮮方面に展開する日本軍への伝達だったという話もある。良いのだ、歴史上の価値は変わらない。
写真は西海町川内付近(モノクロアレンジ)
こちらは西海橋からのショット。やや異様な光景である。

この無線塔は、1997年まで使用されていた、最近のことで驚きだ。個人的にはよく戦時中に米軍に攻撃されなかったものだとも思う(思いません?格好の標的でしょ?)。暗号を解読していたと噂される米軍にとっては、そのまま情報を流してくれた方が良かったのだろうか、これは私の想像の域を出ないところである。ちなみに米軍は暗号の一部を除き解読は出来なかったとのコメントがあるようだが、そのまま鵜呑みにする人も少ないだろうと想像している。

現在は佐世保海上保安部の管理下にあり、この無線塔に比べるとうんと小さいが新たに鉄塔が作られており、そちらに主役の仕事をバトンタッチしている。
針尾送信所2
針尾送信所3 針尾送信所を目指す途中、近くのコンビニの兄ちゃんに聞いてみた。何より地元民に聞くが一番である、「針尾送信所には行けるの?」と。すると「行ったことないけど、親が塔のひとつには近くまで行けると言ってました」との返事。なるほど、行けるのか…興味心が湧いてくるというもの。詳しく分からなければ勘で行きましょう、とあまり考えずに先を急いだ。無線塔を見慣れた人たちにとっては、あまり近くに行って確認しようという気持ちにはならないらしい。富士山の麓の人が、頂上に登ったことがあるかというと必ずしもそうでないのと同じだろう(編集注:分かるような分からないような?)
西海橋より北へ1km位の付近だろうか、西へ向かう道があったので運に任せて針尾送信所を目指してみた。日頃の行いだろう、一発で見事針尾送信所へと向かう道を引き当てたのである。
針尾送信所8 針尾送信所9 針尾送信所10
現在の送信所局舎 おっと無断立ち入りはダメ 細い塔だけに高さを感じる

一番上にある写真でいうと、左より1号塔、2号塔、3号塔となると思われる(たぶん間違いない)。1号等、2号塔は高さ135m、3号等は137mもある。福岡タワーの展望室の高さが123m、もし福岡タワーに行かれたことのある方であれば、無線塔の上からはそれ以上の景色が広がるということを想像して頂きたい。
現代であればエッフェル塔にしても東京タワーにしても、先述の福岡タワーにしても鉄製である。無線塔はこの高さで、しかもこの太さ(細さ)でコンクリート製である。佐世保海上保安部さんのホームページによると、コンクリートの厚さは76cmとある。これほどの高さから想像するには以外と厚くない、そう思われないだろうか。よほど水族館のアクリルの厚さが「こんなに?」と思わせる。
また無線塔の間隔は1辺300mの正三角形のようだ。1周すれば約1kmにもなってしまう広大な施設である。実際には自然の林内に忽然と聳えているわけで簡単には散歩もできないと思われるのだが…
針尾送信所4
針尾送信所5 このような大規模な設備は、長波(30〜300Khz)と呼ばれる低い周波数帯域の電波を利用するため。これは地球大気圏にある電離層の反射を利用し、直線では見えないところまで、極端に言えば地球の真裏にまで情報の伝達ができる電波であるが、周波数が低ければ低いほど通信設備は巨大化する(波長が長いので)。携帯電話の電波帯域が、現在主に800Mhz(800000khz)であるのでだいぶんと違う。携帯電話のアンテナは10cm程度と携帯性には優れるが、基本的に基地局とは直線関係(出力上でも近距離限定)でないと通信できない。
現在使用されている鉄塔の高さは40mもない。これは中波と呼ばれる300Khz〜3000Khz帯域を使用しているためで、その分小型化できたようである。
鉄塔アンテナの出現により引退した長波の無線塔、危険だからと撤去の話もチラホラとあがっているようである。危険という声も分かるというものだ。137mものコンクリートが倒れれば、被害が出ないわけがない。ただ、歴史ある建造物であるのでこのまま無くすのはもったいないことこの上ないのも事実。本音は解体反対である。そこに心強い情報を発見した…
幾度となく到来した台風等にも長年耐えてきた無線塔、長崎大工学部の岡林隆敏教授は、「補修は必要になるが、まだまだ倒壊の危険はない」と太鼓判を押したというからその建造技術はすばらしいものがある。現代の技術で作った東京都庁、少し前になるがニュース番組の特集(だったと思う)で、都庁地下駐車場の壁に入るコンクリート亀裂を見たことがある。適材適所にコンクリートの性質を変えて作られる現在の建造物でもこうであるのに対し、この無線塔は、これだけの年月を経過しながらも外見からは大きな痛みが見受けられない。大正時代、作業機械がなく人海戦術であったに違いないが、その団結力がコンクリートの強度にも現れているかのようだ。
良くも悪くも日本の一時代を象徴する建造物。大事に見守りたいと思う今日この頃であった。
針尾送信所6
 関連リンク 佐世保市ホームページ  
   

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