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ソメイヨシノの花を薄地の淡いピンクのドレスに例えるなら、八重桜は薄紅色の重厚な和服着物といったところ。この差が開花時期と開花状況に影響を及ぼしている。 極端にいえば、ドレスはすっぽりと着るのに時間がかからないが、着物はタオルをバストの下に入れることから始まり帯びを締め終えるまでには、それは相当な時間を要する。それと同じくソメイヨシノは葉がでる前には用意を済ませて花開くスピーディさに比べ、八重桜の種類は準備に時間を要してしまい、葉の出てくる同時期に花を咲かせるのがやっとということになる。だから一見「葉桜?」「鑑賞時期は過ぎたか?」と思わせるがそうではない。その点では木が花一色に染まるソメイヨシノが観賞としては優れているといえるだろうが、花一つ一つの存在感では比較にならないほど八重桜が大きいと言えるのではないだろうか。
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