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 男池 【おいけ】(大分県由布市庄内町)    site up 2003/10/07
男池1
男池【おいけ】を訪れた。男池と聞けば、ならば女池は?と気になる御仁もきっとおられると思う。男風呂、女風呂というように概ね対として名称にも使用される“男女”の関係であるが、残念ながら付近に女池なる湧水はないようだ。あれば夫婦水源なるところだが...
ということで、日本の名水100選に選定されている男池を今回はご紹介しよう。男池は男池湧水群とも呼ばれ多くの湧水が湧き出でるところである。九重の山々の一角である「黒岳」の北側に位置している。
水質は、黒岳の原生林が育むミネラル水で美味とされる。また、付近一帯(全てではないだろうが)に共通する特徴として、発泡性の名水であることが挙げられる。男池の湧水にも炭酸ガスが含まれているという。黒岳登山道途中にはカクシ水という水温8度の湧水もあり、こちらも気になる。
やまなみハイウェイの、長者原と朝日台の間、吉部地区付近から庄内町の方へ8km程進むと黒岳・男池園地の入り口がある。駐車場も十分に用意されているが、広葉樹が多く紅葉が大変美しいと有名な黒岳、見頃には道路上にも車が溢れると聞く(ちなみに写真の山は平治岳かな、黒岳は写真左手)。まだ紅葉に早い9月末は男池を訪れた人と黒岳に登る人ぐらいで、比較的静かであった。これは朝の8時過ぎに訪れたことも大きな要因ではあると思われる。きっと朝はこうでも、10時を過ぎた頃からは水汲みに訪れる人も多いのではないだろうか。でも今は気兼ねなくカメラを向けられる静かさ、早起きは三文の徳(得)である。
黒岳・男池園地入り口付近にはうどん店に売店がある。売店には「野生肉・各種あります」となかなかワイルドなおもてなしである。ま、たしかに付近一帯にはいろんな動物が住んでいるだろう、黒岳原生林がそれらを受け止める自然を残しているのだ。
男池2
男池3 男池4 男池5
うどん店に売店がある ううむワイルドな看板 ここが入り口 清掃協力金100円
男池6 黒岳原生林は、21世紀に残したい日本の自然100選に選ばれている森である。人間の手が加わっていない自然なままの原生林には、ブナやカエデの仲間を中心に多く群生している。紅葉シーズン、想像するだけでも美しそうである。それだけに黒岳は阿蘇くじゅう国立公園としても保護されており、貴重な自然を残す山なのである。
ちなみに、阿蘇くじゅう国立公園、以前は阿蘇国立公園と呼ばれていて“くじゅう”の名前がなかった。しかしそれではくじゅうの山々が不憫に…と地元の方が思ったかどうかは置いておいて、くじゅうが国立公園内でも広いエリアを占めているのになんで名前がないの?という声も当然出てくるわけで、昭和61年9月に現在の名前となった。地元の声にお国も腰を上げた、といったところか。比較してはなんだが、確かに雲仙と天草についても「雲仙天草国立公園」となっている。
もっとややこしいお話もついでに。
阿蘇くじゅう国立公園のくじゅうが“ひらがな”なのには意味がある、のである。日本語は漢字による同音異義語(この場合もこう?)により、ほんと難しいと再認識するところだ。
それは、九重連山【くじゅうれんざん】(久住連山との記載も多い)というが、山単体としての九重山はない。でも同じ読み方で漢字が異なる久住山【くじゅうざん】1781mがある。九重とかく町があるが、ややこしいことに(失礼)九重町は【ここのえまち】と読む。ほんでもって久住とかく町もあって、こちらは【ひさずみ】?と思いきや普通に【くじゅうまち】と読む。すべてはくじゅうの山々の一帯に関連するものであるから、一層ややこしくなる。
おまけでもうひとつ、九重連山最高峰は中岳1791mである。でも登山客に人気なのは久住山の方らしい。
男池7
男池8 ね、だんだんと“くじゅう”を漢字に書くことを躊躇した様子が伺えるでしょ。ネーミングを誤ると九重町と久住町が犬猿の仲に陥ることも想像できる(編集注:ううむ)
ということで、お国は“ひらがな”にしようと決めたのである。まさしく苦渋【くじゅう】の選択(編集注:笑)
と、余談である。いつも余談が長すぎないか?というお声を頂いているわけだが、ま、良い。
で、肝心の男池についてであるが、清掃協力金100円を支払って進むと、さすがは原生林と言われるだけあって生い茂る木々を見ながら進むことになる。木の説明板を見ながら「これももみじの仲間?」と、上を見上げつついろいろな葉が茂るなかを進む。男池までの途中には川が流れているのだが、その川の水がすでに湧水のごとく透明で美しい。飲めるぐらいの綺麗さとお見受けするが、ま、すぐに男池の湧水があるので、飲むことはない。
入り口から5分も歩かないうちに、木製デッキとともに男池が姿を現す。湧水エリアとしてはそう広くないが、毎分14トン1日に2万トンという豊富な湧出量を誇る。もちろんこの主たる湧水地より最も盛大に湧き出しているわけだが、目を凝らすとあちらこちらからチョロチョロと水が湧いている。
男池の水であるが、柄杓が無造作にかけてあったのでまずは味見である。ううむ、少々あと味を感じる口当たりである(あくまでも個人的感想)。やや硬水と書かれた説明をどこかで見たが、この“あと味”部分が硬水によるものだろうか。黒岳が育む豊富なミネラルに端を発するのだろうが、“多ミネラル”ウォーターであるが故の味、硬水なのだろう。ただ私の嗜好という物凄く狭い範囲であって、一般的な意見でないと補足を申し上げた上でご報告するなら、あんまり好みではない。もちろんおいしいのだが、より軟水の方が私好みの口当たりといった感である。
男池9
男池10 このようにミネラル分豊富な、栄養価(というのかな)が高い男池湧水であるが、さらに発泡性の水質であると聞いた。いわゆる炭酸ガス成分を含んでいるということだが、飲んだところあまり感じなかった。近日ご紹介予定の「白水鉱泉」が近くにあるが、こちらは飲んだその場で炭酸ガスを堪能できる。なんでも砂糖を入れればサイダーになるぐらい(缶ジュースのような味付けになるかは別だけど)だそうだから、相当なものだろう?
30分ほど遊歩道を川沿いに下れば、別途ご紹介予定の「名水の滝」がある。実は車でもすぐ近くまで行けるのであるが、男池から遊歩道を行かれるのはマイナスイオンを浴びながらの適度な運動となり、健康上大変お勧めである。流れる川の水は、深みでは青く神秘的色合いをみせるほど綺麗であり、そしてその水が流れ落ちる様は「名水の滝」の名にふさわしい。途中、岩に根を巻く樹木など目を楽しませてくれるのも楽しい一面だろう。
男池11 男池12 男池13
そりゃあ、原生林ですから 私、この岩が大好きなの(笑) 男池を見守る水神様(でしょう)

 関連リンク 由布市ホームページ  
   

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