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 えびの高原 3池めぐり(後編) (宮崎県えびの市)    site up 2003/09/19
えびの高原3池めぐり1
えびの高原3池めぐり(後編)である。(前編)をお読みでない方はこちらより一読頂ければ幸いである。
さて、不動池から歩くこと30分、上りから下りに転じてしばらくすると、林の木々の間から六観音御池の青い色が見え隠れしてきた。対岸の距離からしてなかなか大きな池だ。そう思いつつ先に進むと巨大な杉の木が姿を現した。あたりの木々とは明らかに大きさと風格が違う。
「でかい..」と見上げながら写真を撮り、「さすが自然豊かだよ、こんな大きなスギもあるからなぁ」と呟き、さて行くかと振り向くとまた巨大なスギ。「おおっ、こちらもでかい」とまたカメラを構える私。ひょっとしてまだあるのか?と衝動に駆られて先に目をやると…やはりそれはあった。行く手の先へ点々と大木の姿が見え隠れしている。見るからに皆どれも巨木である。すごいねこのハイキングコース、そう思った次第である。
先に進むと六観音堂と六観音堂御池が見渡せる展望所がある広場に出た。広場近くの巨大なスギ横に案内板があった。たぶんレストセンターから時計回りに見て回ると、先にこの案内板を確認できた次第だが、前編で述べたようにちょっと楽をしようと不動池からスタートしたため、通常とは逆周り(だろう)となって案内板が後になってしまった。ま、良い。
案内板にはズバリ「巨木スギ」として説明がある。実に色気がない質素な名称を与えてある。「霧島六観音のスギ」とでもすれば良いものを、といらぬ世話と言われそうなことも考えた。樹齢は約五百数十年とあり、当時六観音堂を参拝された際に植えられたものと推測されている。案内板にもあるが、屋久杉という説もあるそうだが確かにそう言われるとなるほど、と信じてしまうだろう。しかし、針葉の長さ、角度、曲がりなどから霧島神宮や阿蘇神社などの九州中南部の古い神社にある神木となっている老木と同じ系統と考えれられているようだ。普段、枝を落とされスッと伸びた杉を見なれている我々にとって、こんなにもと関心するように幾多の枝を広げている。また、これは巨木スギの枝が分かれたところに違う樹木が生育しているのでは?と思われる光景もあった。巨木スギ、懐の大きさが違う。
えびの高原3池めぐり2
えびの高原3池めぐり3 六観音御池の展望所である。大きさは感覚的にも不動池よりかなり大きい。それもそのはず案内板によると、周囲1500m(不動池は700m)、深さ14mとなっている。周囲にして倍の大きさだ。
こちらも酸性の水により湖面はコバルトブルー色をしている。また、「霧島火山の中でも最も美しい火山湖と言われている」とある。この場合の最も美しいとは、水質はともかく六観音御池をとりまく景観を含めて最も美しいということだろう。ご覧のように六観音御池の向こうに韓国岳を望む景観は抜群のスポットだ。それだけに、訪問時に韓国岳を覆うように立ち止まっていた雲には悔やまれるところであった。とは言っても、この角度で撮影するなら午後がいいだろう。この写真は午前中であるため、どうしても韓国岳は逆光である。このコンディションでは、青空の中に韓国岳まで綺麗に納めるのは難しいだろう。
えびの高原3池めぐり4 えびの高原3池めぐり5 えびの高原3池めぐり6
現れたスギの大木 これは違う木の根ですよね スギは神木と思われる
展望所の下には、とある巨木スギの袂【たもと】から降りることができる。カメラ片手では岩の多い足場は不安な感じである。降りると池の水にも触れることも可能である。
湖畔では、手製のお弁当をつついて楽しそうな女性2グループの姿。素敵である(編集注:いいねぇ)
六観音御池、静かな水面は辺りの光景を写しこみながら青く美しい。と思っていると、ボチャンッボチャンッ!と水しぶきがあがる。「おいおい、静かな湖面を歪ますなよ!」と“心の中”で叫んで見上げると、展望所から楽しそうに石を投げる少年達。しばらくすると、投石のおかげで水面にはその際生じた泡などが残ってしまった。別に汚くて泡だっているわけではないのに、なんだかイメージ悪いじゃん!である。
とそこに黄色い悲鳴
「キョワァー、へ、ヘビッヘビッ」
「キャッ、ドコドコ」
「あわわ、あそこあそこ、消えた」
どうやらヘビも登場したらしい。水辺だからね。怪我はなかったようだし。残念ながら、私がカッコ良く助けに出るチャンスはなかったことも申し添えておく(編集注:無理無理)

えびの高原3池めぐり7
えびの高原3池めぐり8 黄色い声も静まり辺りに平穏が戻ったところで、気を取り直して「綺麗な水だけど魚とかいないよなぁ」と水中を探ることにした。その矢先、なんと両生類がすぐそこにいるではないか。私の記憶が正しければ奴はアカハライモリ(サンショウウオではないだろう)である。そう、裏を返せば濃い赤色をしているイモリである(編集注:田んぼでも良く見かけたな)。よぉし写真に撮ってあげようとカメラを構えてファインダーを除いたとき、すでに奴は消えていた。連れない奴である。

六観音御池の湖畔には六観音堂が佇む。伝説が紹介されていた。簡単にご説明すると、村上天皇の時代(926年〜967年)に、性空上人(仏教と神道を併せ持つ修験道の開祖の一人か)がこの六観音御池の湖畔で法華経の読誦【どくしょう】をしていると、忽然と白髪の老人が現れてこう言った。
「我はヤマトタケルノミコトである。白鳥と化してこの峰に住むこと久し、今、師の読誦苦行と徳に感応して身を現すものなり」とあのヤマトタケルノミコトが現れた(編集注:さすが神々の山だね)。そこで上人は湖畔の出現場所にお堂を経て、中に手彫りの六観音を安置したと伝えれている。六観音御池という名称は、この六観音堂が出来た後にそう呼ばれるようになったと考える方が自然だと思うが、それにしてもここで白鳥を見る機会があればご用心である、間違っても傷つけないように。
霧島の山々や池と性空上人の関係は深い。また霧島神宮にも関係があるし、霧島神宮を含め霧島の6神社を六観音に見立てるなどの歴史があるという。山岳信仰との関係が深い修験道、山にまつわる活動が多いのは頷ける。ちなみに、湯布院の霧島神社を以前ご紹介しているが、ここも性空上人の関与があるとか。同じ名前には意味があったと納得である。
えびの高原3池めぐり9
えびの高原3池めぐり10 えびの高原3池めぐり11 えびの高原3池めぐり12
展望所も景観の一部だね 霞む韓国岳、残念 心地よいハイキングコース
えびの高原3池めぐり13 さて次は白紫池【びゃくしいけ】である。六観音御池からは軽い登りとなるが、途中はこれまでどおり快適なハイキングコースである。不動池と六観音御池の距離から想像すると、「あれ、もう着いた」といった感覚で池が見えてきた。3池最後となるこちらも大変美しい池であり、透明な水を湛えていた。
直径250mの池とのことだが、不動池とそう変わらない大きさだろうか。しかし水深はこちらがだいぶん浅いだろう。池の向こう側の尾根を回るハイキングコース(外回り)もある。
さてこの白紫池、昭和の中頃までは天然のアイススケート場として滑っていたらしい。しかし年々寒さが弱まったのか、氷が薄くなり危険ということで使われなくなった。その代わりに、近くに天候の影響を受けない人工スケート場が出来ているそうだが、暖冬の影響がこういう形でも見えてしまう。池の水が流れ出す付近には、コンクリートの堤防が整備され、そこには手摺りが施されていた。スケート場の名残りにもみえる。
白紫池の水は、えびの高原の水源として使われているそうだ。ただし貯水量が少ないぞ、と考えてみると六観音御池の展望所からちょうど対岸辺りにもなにやらそれらしい建物があった。六観音御池からも水を引いているのかもしれない。
白紫池の周囲はなだらかな雑木林となっていて、お弁当での昼食や休憩には木陰があって最適である。
ハイキングコースは、これから先はレストセンターへと続くのだが、私は車を止めている不動池へと引き返すこととなった。やはりハイキングコースを1周する方が楽しそうである。その場合はレストセンターを起点とする方が良いだろう。有料駐車場の収益はえびの高原の自然を守るために費やされているとの情報もあったので、無料にして!とも簡単には言えないのかなぁと前編の反省をしたりする。駐車場の入り口に「駐車場料金は環境整備に使われます」と大きく告知があれば、利用客が増えるかもしれない(編集注:どこに止めても車上荒しにはご注意)
訪れた3池、いずれも透明度の高い水を湛えていて、水の循環は少ないだろうにと不思議に思える。見所が豊富に凝縮されたえびの高原3池めぐり、また機会を作って訪れたいと思う。
えびの高原3池めぐり14
えびの高原3池めぐり15 えびの高原3池めぐり16 えびの高原3池めぐり17
こちらも静かな白紫池 水の透明感には驚くばかり 堤防と手摺り、スケート場の名残り?

 関連リンク えびの市ホームページ  
   

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