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K-00075-H0031
 球泉洞 【きゅうせんどう】  (熊本県球磨郡球磨村)    site up 2003/05/30
球泉洞、エジソンミュージアムか森林館か、その特徴ある建物の記憶とともに記憶細胞の一部にインプットされている鍾乳洞の名前は知っている。しかしまだ行ったことがなかったのだが、調べてみるとなんと全国で3番目に長い鍾乳洞となっている。
「九州最大」
「全国で3番目に長い?」
というフレーズが目に飛び込んでは脳裏を強烈に刺激する。そうと分かれば俄然行かなくては、という観念に捕らわれてしまうのは私だけではないだろう。
そういえば、八代と人吉を結ぶ国道219号線は九州自動車道の開通以降は走った記憶がない。
こうして、久しぶりに球磨川を眺めながらのドライブと決め込んだのだった。
日本の洞窟/総延長ベスト3は、
1 安家洞 岩手岩泉町 8000m
2 秋芳洞 山口秋芳町 5900m
3 球泉洞 熊本球磨村 4800m
となっており、確かに3番目に長い。【 2003.5現在 】
どうも最近までは2番手につけていたようだが、どこか新しい洞窟が発見されて総延長が伸びたのだろう、現在3番手である。それでも数多くある洞窟、鍾乳洞群の中で3番目に長いのには驚く。むろん九州最大の鍾乳洞である。


※2005.8現在では
1.安家洞(岩手県岩泉町) 12736.2m 2.大山水鏡洞(鹿児島県知名町) 9150.0m 3.秋芳洞-風穴-葛ヶ穴(山口県秋芳町) 8790.0m 4.内間木洞(岩手県山形村) 6013.8m 5.球泉洞(熊本県球磨村) 4800.0m となっている。
球泉洞では見学コースが2つ用意されている。
一つは通常のコース、もう一つはファミリー探検コースと呼ばれる係員が誘導するコースで、ヘルメットと長靴を借りて探検雰囲気を楽しめる。通常のコースは歩く場所が整備されているが、探検コースは鍾乳洞そのままの中を進むらしいので楽しそうなのだが、今回は残念ながら通常のコースのみの見学となった。

(2013年12月1日現在)
 ○ 球泉洞入場料:高校生以上 1,050円
             中学生      735円
             小学生      630円
             3才以上     525円
(隣接している森林館との共通入場料:1,680円)
 ○ 探検コースはプラス630円
 ○ 営業時間 08:30〜17:30(受付けは17:00まで)

入り口のトンネルである。自然に開いている入洞口はこれより高い山の斜面にあるらしく、トンネルを抜けたところにあるホールは、その入洞口から降りてきた場所に当たるらしい。鍾乳洞内は1年を通じて気温16度に保たれており、トンネルに近づくとそのひんやりした空気が心地良い。夏場なら最高の避暑地だ。
「オレ、ついに買っちまったんだよね、今流行の洞窟型分譲別荘。コウモリや虫を完全駆除したクリーンルーム仕様の特別タイプにしたんだけど、夏は涼しく冬は暖かくて快適さ。ネイチャー志向のオレにピッタリなんだ。これからのトレンドだぜ、君も買ったらどうだい?」
という時代が来ないとは言い切れない。(編集注:いや言い切れると思う)
鍾乳洞内は、当然薄暗いので足元にはご用心である。通常のコースでも通路が整備されているとはいえウェットな状況だから注意要である。以前雨上がりのしゃくなげ園を訪問した際に見事に転んでしまった私としては、同じ轍は踏むまいとスニーカー装着での入洞となった。

鍾乳洞は、太古の世界に堆積したサンゴ層が堆積した石灰岩地帯が隆起したところに、二酸化炭素を含んだ水の侵食作用によって生まれる空間である。この侵食は気の遠くなるような時間を要し、鍾乳洞と呼ばれるようになるまで数十万年はかかるようだ。
球泉洞は、3億年前の海底にあった石灰岩層が隆起してできたと推測されており、それから侵食が始まり今もそれは進んでいる。
ちなみに、アンドロメダ星雲まで光の速さで進むと約230万年かかる、いかに3億年が長いかが分かるね(編集注:よけいに分からない例えだと思うが)

写真は天然橋と呼ばれ、鍾乳石が橋のように架かっている。補強されているようだが、ま、落ちては大変なことになるからね。

鍾乳洞の主な鍾乳石のでき方を現地案内板より簡単にご説明しよう。

石柱は、天井から落ちる雫が水と二酸化炭素の作用によりつららのように伸びるつらら石と、その雫が落ちる床からも次第に鍾乳石が盛り上がってくる石筍【せきじゅん】とが、長い時間の後につながり柱となるものをいう。
フローストーンとは、直訳すれば流れる石なのだろうか。壁にそって流れる水が次第に鍾乳石を厚く結晶化させた壁をいう。なめらかなものから起伏に富むものまであるようだ。
カーテンとは、傾斜した天井や壁を水の雫が流れながら結晶化することで、カーテンのような形になるものをいうようだ。

その他お皿のように水をためた縁が結晶化するものも良く知られているが、水の伝わり方で結晶方法が大きく変わるものである。
もちろんこれら造形美はここ球泉洞で見ることができる。

内部は整備され、鉄骨製の橋が巧みに架けられている。
ふと思ったものだ、どうやって持ち込んだのだろうと。このような橋が鍾乳洞内部にあるのだから、その規模はさすが九州最大と言うに値する。これは事実と述べておこう。

水の流れる音、というかかなりの水流音がする個所があるが、足元の下を水が勢い良く流れている。どうやら滝があって、真下に落ち込むように鍾乳洞が広がっているようだった。鉄製の網から透けて見えるだけに少々スリリングである。
正直に言っちゃおう。私がファミリー探検コースを知らない点をご留意頂きたいが、通常のコースでは満足度を示す「こりゃすごい!」シグナルがやや上がりきれない気がする。
これは日本で3番目に長い、九州最大という先入観がそうさせるのかもしれない。例えばビデオ、「最高だったぞこの映画」と渡されるか「これイマイチだけど見る?」と渡されるかで、同じ映画でも大半は後者の方が満足度が高くなる。イマイチという先入観で見ると、思いのほか「そうでもないじゃん、面白いよ」と思うわけだ。
球泉洞の場合は九州最大というフレーズがあるものだから、巨大な空間に長い距離を歩けるような誇張されたイメージが先立ってしまうのか、実際は写真からもお分かり頂けるようにさすがに大きな鍾乳洞と分かるのだが、「まだ先を見たいよ!」という感覚に捕われる。
しかしこれはあくまでも通常コースのことである。ファミリー探検コースは更に途中から別コースに入っていくようだから、こちらは期待に添える満足感が得られるかもしれない。
これは私見であって、人それぞれ感覚が違うので私の感覚が全てでないことはご承知頂きたい。
次に一つ言い訳である。 写真はなかなか撮りにくい鍾乳洞である。そりゃ暗いからな、と言われれば感謝の念であるが、実は石柱やその他鍾乳石が手に届くところにあるものだから、興味本位に触って折ったりしないようにだろう、金網のフェンスがここぞという場所に設置してある。普通に鑑賞する分には問題ないと思われるが、こと写真を撮ろうとするとなかなか制約が発生してしまう。フェンスの網がイメージを細切れにしてしまい、頭の上に糸くずをぐるぐる丸めたマークが出てしまう感じだ(編集注:漫画の表現方法だね)。焦点距離の効果でフェンスをうまく消そうにも、被写体との距離もあってなかなか難しかった。
ファミリー探検コースは係員が付き添う自然鍾乳洞探検の雰囲気があるだけに、フェンスは設置されてないだろうと思われるが…はてどうなのだろう。

これは球磨川対岸からのショットであるが、球泉洞内を流れた水が湧き水となって地上に現れ、球磨川に合流しているところである。大変な水量が滝のように流れ込んでいる。これだけの湧き水となるのだから、この辺りは地下水が豊かなのだろう。ある意味鍾乳洞が地下水を集める役割になっているのかもしれない。

いろいろ書いたが、結果として私は球泉洞の醍醐味を知るにはファミリー探検コースに是非申し込まれた方が良いと思う。ヘルメットに長靴というスタイルからその気にさせる。きっとより自然な鍾乳洞が見られるのではないだろうか。

日本でも有数の鍾乳洞である球泉洞は、日本六大鍾乳洞の一つともされるようだが、意外と知られていないように思う。再発見でしょ?
急に紹介すると、“球泉洞”だけに“急先導”と言われそうだが、球磨川と球泉洞に緑豊かな自然のマイナスイオントリプル効果、私にはかなり効果あるリフレッシュとなった次第である。
下記写真クリックにて大きい写真が開きます(640×480pixel)
紹介写真1 紹介写真2 紹介写真3
円板状鍾乳石(天井部)と石筍 こんもり鍾乳石 いかにも...鍾乳洞
 関連リンク 球磨村ホームページ  
   

地図はこちらから⇒  Mapfan地図へ がおおよその位置になります。
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