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秋も深まる10月の某日、テレビのニュースで今年も出水【いずみ】にツルの第一陣が飛来したと報じていた。
鹿児島県北薩摩地方にある出水市は、ツルの飛来地としては数・種類ともに全国最大で世界的にも有名である。平成9年以降7年連続で1万羽以上が越冬のため飛来している。
その歴史は古く西暦1700年頃の元禄時代から江戸幕府・島津藩の干拓整備とともにツルが集り始めたと言われている。
大正10年3月に天然記念物の指定を受け、昭和27年3月には「鹿児島県のツルおよびその渡来地」として特別天然記念物の指定を受けている。
【 ナベヅルの飛翔 】
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飛来するツルの種類は、ナベヅルが最も多く、マナヅルが次でその2種で大半を占める。他にクロヅル、カナダヅル、ナベクロヅル、アネハヅルなどが数羽でタンチョウヅルも混じることもあるという。
出水平野のツルたちは、越冬のため毎年10月から3月頃まで(12月がピーク)ここで過ごし、春になるとロシア・中国・モンゴルなど大陸の繁殖地へと渡る。繁殖地ではつがいごとに通常2個の卵を産み、短期間に成長するツルの子は同年の秋に親ツルと一緒に飛来するのである。
たった1年のサイクルで遥か大陸の地から飛来することを聞けばある意味感動的ですらある。
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ナベヅル。小型で飛来数が最も多い。 |
マナヅル。中型で眼の廻りが赤い。 |
夜が明けるとツルがエサを求めてやってくる。 |
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って、だーーーーーー!!!!、こんなんおるんかい、(-"-;)
荒崎の観察センター前の光景である。ツルによる農作物の被害を防ぐために毎朝エサを蒔いている観察センター前はこんな状況で大変だ。
観察センターは11月から3月の第4日曜日まで開館しており、12月〜2月まではツル周遊バスなるものも運行されJR出水駅との連絡もしている。駐車場は大きく整備されているので勿論マイカーでの訪問も特に困ることはないだろう。
1Fはレストランと土産店、2Fは展望室・資料展示(こちらは有料)、3Fは展望所でライブカメラも設置されているので事前の状況確認も出来るので便利だ。
【撮影日:2004年2月】
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荒崎のツル観察センター |
屋上展望所からはこんな感じ |
ライブカメラも設置されている |
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ただし、こんなに数がいるからといって頭を撫で撫でするなどのスキンシップは、あくまでも野生なだけにできないのであしからず。
ツルの生態などさらに詳しく知りたい、という方には荒崎から市街方面へ約12Km、車で15分ほどの国道328号バイパス沿いにある「クレインパークいずみ」を訪れるとよい。よりツルの生態や種類などを展示・紹介する充実した博物館となっている。
また、ツルのために準備されたねぐらには夜間の車のライトにツルが驚かないように目隠しがされてあるが、早朝暗いうちに訪れる場合は注意されたい。
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ねぐらの目隠し、夜間のライトに注意。 |
日本最大のツル越冬地 |
ツル資料館「クレインパークいずみ」 |
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長距離をより早く |
飛ぶために進化した |
ツルの飛翔は美しい |
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ツルの飛ぶ姿は美しい。
日本の昔話でもよく出てくることで頭の中では凄く身近に感じながらもよく考えると自然な中でツルを見ることは皆無である。
それだけ人間社会がもたらした環境破壊の影響が大きいということだろう。これだけのツルが出水市では見られながらナベヅル、マナヅル共に絶滅の危険性を指摘されているそうである。特別天然記念物に指定されているからと安心出来るものではない。
世界的な人類の平和と環境保全の意識がなければと強く思い、祈念する次第である。
こんな風景、いつまでも・・・。
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