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 東田第一高炉跡広場  (福岡県北九州市)    site up 2003/06/24
今では、当時「北九州道路」と呼ばれていた現「北九州都市高速4号線」を走る機会も少ないのではないだろうか。九州自動車道の八幡−小倉間が開通していない頃、関門橋を渡り本州の地を訪れるには、北九州道路を通るのが普通だった。余談だが北九州道路の大谷ランプ(インターチェンジ(IC)のことをランプと呼んでいる)から小倉方面への進入は、なんと一旦停止してから進入しなければならないICで、非力な車にも必死な急加速が求められるところであった。(編集注:最近ジャンクション化に伴い改良されたみたい)

皿倉山の裾野を走りその大谷ランプを通過するころ、眼下にスペースワールドの観覧車にスペースシャトルが見えるのだが、その横になにやら巨大構築物が見え隠れする。東田第一高炉史跡である。

云わずと知れた製鉄の町八幡。現在八幡の製鉄所から火は消えているが、今でも新日鉄のお膝元に変わりはない。
実は私は北九州に約6年住んでいた。住み始めた頃は路面電車が黒崎から小倉まで走っていて、路面は線路のサビで茶色気味だし街全体もくすんで見えて、間違いなく町全体のイメージ色はと聞かれたらこげ茶色と答えていただろう。それが6年の間に路面電車が消え、それに伴う大幅な道路工事やその他発展によりみるみる綺麗な町へと変化した。そしてその集大成ともいうべき工事が東田地区再開発であった。簡単に言えばスペースワールド周辺の工場跡地、休遊地の再開発だったが、その一角に八幡いや日本の工業面を支えてきたシンボルが残されたのである。

それでは東田第一高炉についてご説明しよう。
官営八幡製鉄所東田第一高炉が、明治34年2月5日に火入れされ日本の製鉄が始まった。明治34年は西暦1901年であり、高炉には大きく1901の札がかかる。八幡製鉄は日本初めての製鉄工場の建設であり、ドイツ技術者を招いて4年の歳月をかけて東田第一高炉を完成させる。そして何回かの改修を行い、昭和37年に日本初の超高圧高炉へと進化した。これは超高圧高炉の先駆けであり長いこと画期的な高炉と注目を集めたようだ。しかし長年の使用による老朽化が進み解体の危機が訪れる。
市民の保存を求める声は北九州市を動かし、近代製鉄発祥の地として東田第一高炉一帯は、平成8年に市指定文化財(史跡)に指定されるとともに保存整備されることとなった。いい話である。
東田高炉は、昭和34年に完成する合理化を進めた新鋭戸畑製鉄所「戸畑第一高炉」、昭和37年当時世界最大の「戸畑第三高炉」等の登場により昭和47年その役目を次第に終えている。
付近一帯はスペースワールドを始め、自然史・歴史博物館や環境ミュージアムがあり綺麗に整備されている。一時100m(幅)道路ができるとも言われていた。確かに計画があったと思われる2本の道路が並行に走っているが、今は存在しない。訪れられた際には「ははん、これか」とつぶやいてほしい。名古屋の100m道路みたいにはなかなか難しいと私も理解できるので、ま、いいかである。道路間は公園などにするしかなく、ズバリ土地がもったいないと思う。
そんな新しい街に、これまた綺麗に整備された東田第一高炉が聳え立つ。塗装などピカピカである。国指定なのにサビ放題のとある竪坑(たてこう)跡とは大違いである(編集注:あちらも整備予定らしいよ)。
高炉である鉄製の櫓のような建造物と、白いタンクのように見える熱風炉が大きく存在感がある。
熱風炉で高圧ガスによる熱を作り出し蓄え、それが高炉で鉄を溶かす原動力となる。高炉では頂上部より原料と燃料のコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)を交互に入れ、そこに熱風炉からの1200度に達する高熱を高炉下から吹き付け燃料を燃やし、原料を溶かして銑鉄【せんてつ】(溶鉱炉で鉄鉱石を還元して得られる鉄。「ずくてつ」と呼ばれる)を取り出す。
高炉で溶かされた銑鉄を運ぶ貨車があり、その貨車に銑鉄を流す場面などが再現されている(人形により表現)。再現模型だがらゆっくりと見られるが、銑鉄の温度は1400度、本当に解けている状態では近寄れない。「俺の情熱は溶けた鉄より熱い」なんて流行らない口説き言葉を言っている御仁は、発言する場所はわきまえる必要がある。ここでは気分はハイでも体は間違いなく灰になるだろう。(編集注:そんなこと言う奴いないよ)
紹介写真1 紹介写真2 紹介写真3
上の写真左は、熱風炉から高炉へ向かう熱風管(いや排ガス管か)、写真中央は高炉内部、写真右は溶けた銑鉄が出ている再現である。

そして右はおもむろに置いてあった防護服である。本物のようだが、特に展示品といった表示もなくただ手すりにかけてあったので並べてみた。手袋の向きがおかしいのはご愛嬌である(笑)。正式な展示品か不明なので、皆様がお越しになった際にはないかもしれない。ま、持って帰る人もいないと思われるのだが、無くなりそうで心配してしまう。
防護服は思ったほど重くなく、また厚くない。下なんか前掛けしかない状態で本当に大丈夫なのかと心配になる。これにヘルメット姿での勤務だったようだ。果敢に鉄に挑む男たちといった感である。

下の写真左、中央は、銑鉄を運ぶトーピードカーと呼ばれる貨車と牽引車である。トーピードとは魚雷のことで形が似ているから。写真右は東田第一高炉の展示模型である。
紹介写真4 紹介写真5 紹介写真6
高炉から運ばれた銑鉄に、生石灰を入れ酸素を吹き込むことで、その加減により利用目的に合った鋼鉄を作る「転炉」と呼ばれるものである。ちょっとみるとノーチラス搭載の潜水艇か、または宇宙より帰ってきた宇宙船の脱出ロケットか、はたまた巨大なコンクリートミキサーかと目を疑うところだ。

各場所場所には丁寧な掲示板が置いてあり、鉄がどのように作られるのかが詳しく分かる。これは勉強になるところだ。北九州市はよくぞここまで整備してくれたと思う。私はここが気に入った。ただ、綺麗に整備されているが、オープンな施設なため鳩の糞が屋根下にあったりするのが、しょうがないといいつつもイメージダウンだ。鳩には申し訳ないが、屋内天上には簡単に止まれないような配慮を求めたい(編集注:でも剣山みたいなハリを並べるのはやめよう)
紹介写真4 紹介写真5 紹介写真6
   

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